ラベル 確率 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 確率 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2017年3月31日金曜日

日程が操作されている可能性はどの程度か?という話

「99.999%」JリーグがFC東京のために日程を操作したことが判明鹿島アントラーズデータブログ)というブログ記事がFC東京サポーター界隈でちょっと話題になっている。
今は昔の1999年、J2参入初年度にナビスコカップ(現在のルヴァンカップ)準決勝で鹿島と対戦し国立で引き分けた時、「あの鹿島に引き分けられるとは!」と感動した身としては、この記事を見て隔世の感を覚え、東京も鹿島から妬まれるほどの立場になったのだなあと感慨にふける次第である。

が、本ブログはTech Memorandumであって科学技術の話をすべきであろう(そうだったか?)。

元記事の論旨

当該記事においては、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場するJリーグ4チームが特に他国強豪クラブと対戦する直前または直後の週末に、東京との対戦が組まれているという点に疑問を呈している。詳しく書くと、以下の日程で4チームすべてACLの直前または直後に東京との対戦がある、ということである。(当該記事で掲載された日程表に、ACLの対戦カードには引用者が[ACL]と付記し、またJリーグの部分には節を付記した)。
鹿島アントラーズ
2/21 蔚山現代[ACL]→2/25FC東京(第1節)
4/22磐田(第8節)→4/26蔚山現代[ACL] →4/30鳥栖(第9節)
浦和レッズ
3/10甲府(第3節)→3/15上海上港[ACL](→3/19G大阪(第4節))
4/7仙台(第6節)→4/11上海上港[ACL]→4/16FC東京(第7節)
川崎フロンターレ
3/10柏(第3節)→3/14広州恒大[ACL]→3/18FC東京(第4節)
4/8甲府(第6節)→4/12広州恒大[ACL]→4/16札幌(第7節)
ガンバ大阪
3/11FC東京(第3節)→3/15江蘇舜天[ACL](→3/19浦和(第4節))
4/7広島(第6節)→4/11江蘇舜天[ACL]→4/16C大阪(第7節)

さて、当該記事ではそのような日程が「たまたま」組まれる確率として
(3/14)×(3/14)×(4/14)×(3/14)=0.001%
という計算式を示している。式の導出過程は示されていないが、たとえば鹿島については強豪蔚山との対戦前後にリーグ戦が第1・8・9節の3日分あり、そこで対戦し得るACL不参加チーム14のうち東京が入る確率(=3/14)、ということを表しているのであろうと推察される。

元記事の計算における問題点

まず、左辺の計算結果は0.00281...となり、パーセント表記すると0.281%である。この辺はケアレスミスであろうが、タイトルからして違ってきてしまう(上記結果に基づけば操作された確率は99.999%ではなく99.72%である)。
第2に、浦和とG大阪の直接対決をなぜか組み合わせから除外しているが、この対戦は事前に決まっているわけではないので、ここに東京が入る可能性も考慮すべきだし、逆に他の節でも直接対決が起こる可能性を考慮すべきである(14チームでなく17チームで見る)。これであれば、例えば鹿島と東京の対戦が第1・8・9節のいずれかになる確率は3/17となり、それ自体は確率として正しいと言える。
しかし、たとえ個別の対戦について3/14でなく3/17という確率で求めたとしても、上記の計算式はそれを単純に乗じており、すなわち4チームとの対戦をすべて「独立」であるものとして扱っているのでまずい。実際には、たとえば3/11のJリーグ第3節にG大阪と対戦するのであれば、同じ第3節に浦和や川崎と対戦する可能性はなくなるので、そのようなパターンを除外する必要があるのだが、独立を仮定すると同日に対戦することを許してしまう。このように、単純な掛け算で求めた結果は正しいとは言えない。

正しい確率の求め方

ではどのように求めるべきか。ACLグループリーグはJリーグの前半戦(第1~17節)に行われるので、鹿島・浦和・川崎・G大阪のそれぞれに(重複しないよう)1~17から4つの数字を選んで割り振ることを考える。これで東京がACL出場4チームと「第何節に対戦するか」のリストができるが、これは高校で扱う順列に相当し、そのパターンは
17P4=17×16×15×14=57120通り
である。このようなパターンのうち、鹿島と1・8・9節のいずれかで対戦し、かつ浦和・川崎・G大阪の3チームすべてと3・4・8・9節のいずれかで対戦するパターンは
4P3=3×(4×3×2)=72通り
である。したがって、FC東京の対戦順序が全くランダムに決められる場合、「たまたま」元記事が指摘するような対戦日程になる確率は
72/57120=0.00126...(パーセント表記だと0.126%)
と考えるのが妥当ではないだろうか。

おまけ:0.126%って高いの?低いの?

さて、本稿では確率計算に関する誤りの指摘と、正しいと思われる数値の導出を行った。蛇足ではあるが、「じゃあ0.126%ってのはほとんどありえない確率なの?」という点についても書いておこう。サイコロを投げて1の目が4回続けて出る確率は0.00077...=0.077%で、これよりは大きい。コインを投げて10回連続表になる確率が0.00098...=0.098%で、これよりも大きい。つまり、「サイコロで1の目が4回も連続するなんてありえない!このサイコロは細工されている!」と考える人にとっては、大きいとは言え近い確率なのでまあ操作の可能性を疑う余地もあるのかなあ、と思うが、これはまた別項にて。

2012年2月13日月曜日

続・モゲマスのSレアゲットと確率の関係

この手のネタはやはり学生には食いつきがいいのか何かわからないが、いくつかフィードバックをもらったので問題を組みなおしてみよう。

どうやら、ガチャを1回やった場合に「6種類のカードのどれかが必ず得られる」のではなく、その他のカードも含まれているらしい。確率については非公開(これで本当に良いのかという気もするが、いろいろ調べても景品表示法等には抵触しないようだ)。

とりあえず試算のために、twitterでもらった「1回の試行で6種類のどれかが得られる確率は12%くらい」というデータに基づいて話を進める。もし12%=0.12の中で6種類が均等であれば、目的のカードが得られる確率はそれぞれ2%=0.02となる。
  • 6種類のうち、最初の1種類が得られるまでの試行回数は、パラメータ0.12の幾何分布に従い、その平均回数は1/0.12≒8.3回である。
  • 1種類めのカードが得られた後、2種類めの未所持カードが得られるまでの試行回数は、パラメータ0.10の幾何分布に従い、その平均回数は1/0.10=10回である。
  • 以下同文で、6種類すべてを最低1枚ずつ得るまでの平均試行回数は、1/0.12+1/0.10+1/0.08+1/0.06+1/0.04+1.0.02=122.5回。
1回300円ならば、6種類すべてを得るまでの平均費用は122.5×300=36750円である。なるほど、ねとらぼの元記事ではこの値を超えるのは1回だけで、後はこれより短い(が著しく短いわけでもない)。12%という予測はなかなか妥当な数値と言えそうだ。

モゲマスのSレアゲットと確率の関係(なんじゃそら)

続編はこちら

入試(A日程)、講義の採点、卒研、修論と、中堅私立大学の1月末~2月初旬は1年で最も忙しい時期である。とりあえずそれが終わってほっと一息ついて、ニュースサイトを見ていたら面白そうな記事に出会った。
ねとらぼ:「モゲマス」にニートショック到来! 「双葉杏」を求めて大金をぶっ込むプロデューサーが続出
いろいろと専門用語?が乱舞しているので意味を把握するにはやや時間を要するが、モゲマスというのはベイスターズを買ったあの「モバゲー」で提供されるゲームのタイトル「アイドルマスター シンデレラガールズ」の略称らしい。

こうしたネットワークゲームにおいて、ゲームを進めていくために使えるアイテムや、何となく持っているとうれしいアイテムをランダムに受け取ることができる仕掛けを「ガチャ」と呼ぶ。要するに僕らの子供の頃の(今もあるか)ガチャガチャのソフトウェア版ということか。ガチャにはゲーム内で無料で実行できるものもあれば、毎回お金を取られる有料(課金)ガチャというのもあるらしい。
で、この「モゲマス」の中の期間限定イベントとして、有料ガチャで6人のアイドルキャラのどれかが当たるのだが、6人全部揃えたプレイヤーだけに希少カードがプレゼントされる、ということのようだ。

これはつまるところ「6種類のいずれかのカードが入った袋を買い続け、6種類すべてを揃えるまでには何回買わねばならないのか?」という問題に帰着できる。 クーポン集めの問題 (coupon collector's problem) という奴だ。仮面ライダーチップスだろうがなんだろうが、モデルとしては同じだ。平均くらいなら恐らく大学1・2年の練習問題として解けるだろう。

ここでは、はずれくじは存在せず、6種類のカードのどれも等確率で袋に入っているとしよう。また、いずれかのカードを得たとしても、その後のカードの確率には変化が無い(独立である)と仮定する。このとき、以下のように考えると平均が求まる。
  • 最初のカードを得るまでの回数は当然1回だ。なぜならば、どのカードを引いても、それは未入手のカードだから。
  • 最初のカードを得てから、次に未入手の(つまり2種類目の)カードを得るまでの回数は、 パラメータ5/6の幾何分布に従い、その平均回数は6/5=1.2回である。
  • 2種類目のカードを得てから、次に未入手の(つまり3種類目の)カードを得るまでの回数は、パラメータ4/6の幾何分布に従い、その平均回数は6/4=1.5回である。
  • 同様の考え方により、結局6種類のカードを得るまでの平均回数は1+6/5+6/4+6/3+6/2+6/1=14.7回である。
「モゲマス」における課金ガチャは1回300円らしいので、14.7×300=4410円が「Sレアをゲットするための平均費用」ということになる。上記記事では万単位でかかっているそうだが、もちろん確率的にはそういうこともあり得る。ただ、ここまで平均より大きな値ばかりが並ぶと、等確率やら独立性といった仮定が成り立ってないのだろうと推測したりもする。

2010年9月3日金曜日

「確率1400万分の1」は、「1400万回試せば必ず○○する」とは限らない

gigazineの記事
途上国の飛行機は先進国の13倍落ちやすい
(http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20100903_fatal_flight/)
の文中にちょっと気になる確率の話を見かけたのでコメント。といっても、確率の基礎を勉強ずみの人にとっては単に「ありがちな誤解の指摘」でしか無いのでそのつもりで。

まず当該部分を抜き出し。

Barnett教授の計算によると、2000~2007年の旅客機(ジェット機とプロペラ機を含む)の1便あたりの死亡リスクは、アメリカや日本、アイルランドなどの先進国では1400万分の1(0.000007%)だったとのこと。これはつまり「人は1400万回旅客機に乗ればほぼ確実に死ぬ」という数字ですが、1日1回旅客機を利用する人でも1400万便に乗るには3万8000年もかかるので、旅客機はかなり安全な乗り物と言っていいようです。


こちらで追加した太字部分が気になる点。これは、1400万本のうち1本の当たりが「確実に」入っているようなくじを、「1回引いたくじは戻さずに」引き続けるような状況を前提とした話になっている(いわゆる非復元抽出という考え方)。この場合は1400万本引き続ければ、そのうちどこかで当たりに出会う(=死ぬ)ことになる。

しかし実際に飛行機に乗る場合、1回飛行機に乗って死ななかったからといって、その後の死亡リスクが大きくなるわけでも、小さくなるわけでも無いと考えるのが普通だろう。これは事象の独立という概念で、上記のくじの例で言えば復元抽出(くじを引いたら元に戻すので、何度引いても当たりを引く確率は1400万分の1)という考え方に相当する。

独立性を仮定した場合、1400万回飛行機に乗って死ぬ確率はどう計算できるか。1回乗って「死なない」確率は (1-1/14000000)であり、したがって1400万回乗って死なない確率は
(1-1/14000000)^14000000 ≒ 1/e = 0.36787944...

である(上記の近似は自然対数の定義を使った)。結局、1400万回のうち1回以上死亡事故レベルの墜落に出くわす確率は0.63程度であり、まだまだ「ほぼ確実」とは言えない。

ところで、3万8千年(38000年×365日=1387万日≒1400万回)という数値はgigazine記事の元ネタになっているScienceDaily記事や、さらには本家本元INFORMS Onlineの記事にも載っているのだが、こちらの記事には誤りは無い。というのも、これらの記事では "on average" (平均で)という表現を用いているからである。恐らくgigazineはこの意味を誤解したか読み飛ばしたのではないかと思われる。

当選確率1400万分の1のくじを(復元抽出で)引き続けるとき、初めて当たりくじを引くまでの回数は幾何分布と呼ばれる確率法則に従う。このとき、回数の平均値は1400万回になる。ただし平均はあくまで平均であって、それより早く当たりくじを引く場合もあれば、もっとかかる場合もある。先ほどの計算では、この平均回数以前に当たりくじを引く確率は63%程度だ、ということになる。ちなみに、「ほぼ確実」といえるレベルは人によって違うだろうが、上記の3倍すなわち4200万回をこなせば、そこまでの間のどこかで当たりくじを引く確率は約95%になる。

(追記)
このエントリーのURLを添えてgigazineのメールフォームからコメントを送ったところ、早速修正しましたという返信が送られてきたのだけど、「ほぼ確実」が「大抵の人は」に変わっただけ。63%(だいたい3人に2人)だと大抵とは言えないように思うのだけど…このエントリーもちゃんと読んでもらっていないのか、それともこっちの書き方が悪いのか。

英語配列のノートPCで日本語配列設定にしちゃった時に、アンダースコアを入力するTips

US配列のLG gram SuperSlimを購入した。で、Windowsの初期セットアップを始めたところ、最初に選択できるキー配列はMicrosoft IME(まあ要するに日本語配列)だけ。で、その後に「追加のキー配列」を選択できるのだが、後でやればいいやと思ってスルーしてしま...