続編はこちら。
入試(A日程)、講義の採点、卒研、修論と、中堅私立大学の1月末~2月初旬は1年で最も忙しい時期である。とりあえずそれが終わってほっと一息ついて、ニュースサイトを見ていたら面白そうな記事に出会った。
ねとらぼ:「モゲマス」にニートショック到来! 「双葉杏」を求めて大金をぶっ込むプロデューサーが続出
いろいろと専門用語?が乱舞しているので意味を把握するにはやや時間を要するが、モゲマスというのはベイスターズを買ったあの「モバゲー」で提供されるゲームのタイトル「アイドルマスター シンデレラガールズ」の略称らしい。
こうしたネットワークゲームにおいて、ゲームを進めていくために使えるアイテムや、何となく持っているとうれしいアイテムをランダムに受け取ることができる仕掛けを「ガチャ」と呼ぶ。要するに僕らの子供の頃の(今もあるか)ガチャガチャのソフトウェア版ということか。ガチャにはゲーム内で無料で実行できるものもあれば、毎回お金を取られる有料(課金)ガチャというのもあるらしい。
で、この「モゲマス」の中の期間限定イベントとして、有料ガチャで6人のアイドルキャラのどれかが当たるのだが、6人全部揃えたプレイヤーだけに希少カードがプレゼントされる、ということのようだ。
これはつまるところ「6種類のいずれかのカードが入った袋を買い続け、6種類すべてを揃えるまでには何回買わねばならないのか?」という問題に帰着できる。 クーポン集めの問題 (coupon collector's problem) という奴だ。仮面ライダーチップスだろうがなんだろうが、モデルとしては同じだ。平均くらいなら恐らく大学1・2年の練習問題として解けるだろう。
ここでは、はずれくじは存在せず、6種類のカードのどれも等確率で袋に入っているとしよう。また、いずれかのカードを得たとしても、その後のカードの確率には変化が無い(独立である)と仮定する。このとき、以下のように考えると平均が求まる。
- 最初のカードを得るまでの回数は当然1回だ。なぜならば、どのカードを引いても、それは未入手のカードだから。
- 最初のカードを得てから、次に未入手の(つまり2種類目の)カードを得るまでの回数は、 パラメータ5/6の幾何分布に従い、その平均回数は6/5=1.2回である。
- 2種類目のカードを得てから、次に未入手の(つまり3種類目の)カードを得るまでの回数は、パラメータ4/6の幾何分布に従い、その平均回数は6/4=1.5回である。
- 同様の考え方により、結局6種類のカードを得るまでの平均回数は1+6/5+6/4+6/3+6/2+6/1=14.7回である。
「モゲマス」における課金ガチャは1回300円らしいので、14.7×300=4410円が「Sレアをゲットするための
平均費用」ということになる。上記記事では万単位でかかっているそうだが、もちろん確率的にはそういうこともあり得る。ただ、ここまで平均より大きな値ばかりが並ぶと、等確率やら独立性といった仮定が成り立ってないのだろうと推測したりもする。